ビジョンが必要
このサイトでは、外資系企業に関連するいろいろな細かいことも含めてかいてみるつもりでいます。しかしその前に、もっともっと根本的な仕事に対する私の考え方を少し書いてみたいと思います。
- まず、仕事をする上で一番大切なことは自分のビジョン(Vision)があるか?ということだと思います。自分が今勤めている会社で自分の業務を進めていく際に、あなた自身の中の業務に対するビジョンは何ですか、ということです。
- え〜今時、仕事のビジョンとか、そんなのありですか?ただ単に会社で指示されたタスクを正確に迅速にこなせばそれでOKでしょ?淡々とね。外資だったらなおさらそうじゃないの?いろいろな反論が出そうです。
- 淡々と指示されたことをこなす。いかにも今時の割り切った考え方のように聞こえます。でも私はそれでは個人も会社も国家も成長できないと今頃になって強く思います。。
- 殆どの人が起きている時間の多くを仕事に使います。人によっては70%以上もの時間を使っているかもしれません。無感情に、熱意もなく、淡々とその膨大な時間を過ごすというのは全く持ってもったいない限りです。また、いい仕事ができるとも思えません。
- 仕事のために生きているんじゃないもんね。生きるためにその手段としての仕事ですもんね。それはそれで全く結構です。でもそれは情熱もなく淡々と仕事するべきであるということと同じ意味であるとは思いません。
- 勘違いしないで欲しいのは、ビジョンに向けて馬車馬のように昼も夜も働かないと駄目、といっているのではないということです。ビジョンを働くべきだというと、たいていの人がそう勘違いしてReactしてきます。Life work balanceは自分の判断できっぱりとやればいいのです。会社やワークロードのせいにしてNo lifeだと嘆くのは自分自身の管理能力の欠如にみえます。
- 自分の勤める会社の理念・ビジョン、それから自分に課された業務。それらを見つめて自分なりのLong termのビジョンを持つと、そこから熱意が生まれます。達成感も生まれます。
- わたしも数年前からこのことを真剣に考え、自分なりのLong termのビジョン・夢をいつも自分の今やっていることとどうリンクしているかを常に考えるようにしてきました。
- その結果、常に自分の業務の意義を確認することが出来、そして強い一本の芯が自分の中にできるように思います。もちろん、外資の中にはShort termのAchievementだけを追い求め部署を転々とキャリアを重ねていく欧米人のManagementも沢山います。それは外資系企業の強み(瞬発力・変化)でも弱み(長期展望・長期戦略)でもあるとは思います。でも日本人は少し自分のIdentityを大事にして落ち着いて考えてみたいところです。
- 振り返ってみれば日本はちょうど我々が社会人になり始めた世代ごろから、戦後馬車馬のように働いてきた反省とその反動としてLife指向の考えかたが仕事をする上でも台頭してきました。それは文部省の教育要綱にまで反映され「ゆとり」と「個性」の名の下に教育がなされ始めます。
- しかし、まだ本当のLife指向ということが何か分からないまま日本人は過去数十年過ごしてきたように思います。その結果、信じられないほどの道徳心の低下(自由の勘違い)・学力低下(ゆとりの勘違い)です。今や日本の学生の学力は先進国中、ダントツのビリです。犯罪率の増加トレンドは数年先にはUSを追い越すことが予想されています。経済はごらんの通りです。僕はみんなにビジョンが無くなったからだと思うんです。外国人も含めた若い世代のDiscussionで一番おとなしく、にやにやと笑っているのが日本人です。若い世代では海外の空港などで一番だらしなく、目が死んでいるのが日本人です。
- 前後の復興期のような「追いつけ・追い越せ」のビジョンを持つ必要はありません。一人一人違ったものでいいと思います。ただ自分の大半の時間を使う仕事のバックボーンとなるビジョンを考えてみればいいと思うのです。そんなところまで欧米化されてしまう必要はありません。
- いい本があります。私もたまたま知人が持っていたのを借りて読んだのですが、松下幸之助さんのことを書いた「上司の哲学―部下に信頼され... 」という本です。こういう上司になりなさい、というよくあるマニュアル本ではありません。松下幸之助の下で働いた江口克彦さんが松下さんから学んだ考え方をおもしろくかかれています。これを読んで私は「松下幸之助という人はなんてすごい人だったんだ」とびっくりしました。その中で一貫して感じられるのが、彼が仕事・会社に対して非常にクリアーなビジョンを持ち続けていたということです。